カリブのビジネスマンS氏



1976年のモントリオールオリンピックの陸上100m競技で金メダルを取ったのがトリニダード・トバゴのヘズリー・クロフォード選手です。 私はその時初めてそういった名前の国があることを知りました。


同国が島国であることはその時に伝えられていましたが、カリブ海のかなり南東で、ジャマイカやドミニカよりもさらに南に位置し、ほとんどベネズエラの沖合といったところにあると知ったのはつい最近のことです。

因みにトリニダード島が本島でトバゴ島は小さな離島です。


トリニダードトバゴ(以下トリニダード)は風光明媚でかつカーニバルのような観光文化資源も豊富な国ですが、石油・ガスが産出される資源国であることから一人当りのGDPは名目で2万ドル前後、購買力平価で3万ドルを超える比較的裕福な国です。


トリニダード出身のS氏と出会ったのは3年ほど前で、弊社が東京の窓口を務めていたグローバルチャンバーという世界の中小企業のネットワークを通じて紹介されたものです。

S氏はその時点で日本に会社を興しており、日本の新車・中古車を買い付け、トリニダードに輸出するビジネスを立ち上げていました。


日本からですとコンテナ船にて横浜港を出てパナマ運河を経て一旦アメリカのマイアミの倉庫にストックし、そこからカリブ各国のニーズに応じて出荷していくというロジスティクス体制をとっています。 主にトリニダードとジャマイカに販路を持っており、完成車はもとよりエンジンオイルやアクセサリー類から修理・交換部品までも扱っています。


カリブ海でも安い中国製品が出回っており、車市場にも中国車が進出している状況だそうですが、S氏は日本の品質を信じ、made in Japanをブランドとして差別化を図っています。


S氏はこれまで最低でも隔月で日本を訪れ、中古車のオークション会場を回り、買い付けを行ってはマイアミへの輸出手配をして帰国するというパターンを繰り返していました。


トリニダードからマイアミまで飛行機で4時間、そこからダラス空港まで3時間、ダラスから成田までが12時間と、乗り継ぎ時間を含めれば片道ほぼ24時間をかけての出張ですが、S氏はこれを淡々と繰り返していました。

それが新型コロナウィルス発生に伴い、トリニダードが出国禁止となり、日本での買い付けができない状況が続いています。 同国の外貨制限もあるようで日本に対する送金も滞り、業務が立ち行かない状況に陥っています。 ただ、S氏自身に悲壮感はなく、支払いができないことにも申し訳ないとは言いつつも悪びれず、カリブの海のようなさわやかな明るさで暮らしています。趣味のサッカーも仲間とオフタイムでやっているようです。

日本とカリブ地域での文化や感性の違いは当然ですが、やはり困難な事態や非日常的な状況に際し、そういった違いが表に出てくるものだと改めて感じました。


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